グリーンイグアナの飼い方

和名 グリーンイグアナ
英名 Green Iguana
学名 Iguana iguana
分類 有鱗目トカゲ亜目イグアナ下目イグアナ科
原産 中南米
全長 150~180cm
概要
グリーンイグアナは、単に「イグアナ」と呼ばれたり、「イグアナ・イグアナ」という学名が示すとおり、イグアナの仲間の代表的な存在です。中南米の熱帯域に広く分布し、水辺の樹上で暮らしています。
幼体はあざやかな緑色で、成長するにつれて褐色をおび、野趣あふれる体色となり、尾に黒の縞模様が入ります。アルビノ(全身が白または黄色)が高値で取引されているほか、最近では赤色の変異(エリスリスティックス)も市場に現れています。
頭のてっぺんから一列にならぶトゲ状のウロコが特徴で、かつては「タテガミイグアナ」とも呼ばれていました。オスは成長につれてこのタテガミが伸びてゆきます。アゴの下にたれたヒダや、耳の下の大きなウロコも特徴的で、全体の印象はワイルドそのもの。恐竜や怪獣のようなド迫力のヴィジュアルが魅力的です。
植物を食べることから、爬虫類ペットとして飼育しやすそうに思えますが、なにしろ巨体です。イグアナのために部屋をひとつ差し出す覚悟と(おもに経済的な)余裕がなければ、飼育はおすすめできません。また、鋭い爪と歯、力強いアゴ、強靭な尾を持っており、決して安全な動物とは言えません。特に発情期のオスは攻撃的になるので、人間に怪我を負わせる例が多くなっています。小さなお子さんのいるご家庭では、まず飼育をひかえたほうがよいでしょう。
しかしながら寿命は10~15年ほどと長く、ペットとしてありあまる存在感を持っていますので、覚悟と余裕があるなら、ぜひ一度は飼ってみたい爬虫類ではあります。知能にすぐれ、飼い主を見分けたり、声を聞き分けたりできるようにもなります。上手に飼うことができれば、人生の友と言える存在になることはうたがいないでしょう。
一時はかっこいい爬虫類ペットとして注目が高まり、幼体がたくさん市販されていましたが、覚悟が浅くて持てあましてしまう飼い主が続出したことから、現在では販売側も慎重になっており、爬虫類専門店でも取り扱っていない場合さえあります。とはいえ比較的、入手は容易であり、幼体が3000~5000円ほどで販売されています。イグアナ自体はかなり安価ですが、設備や世話にとてもお金がかかることをお忘れなく。
飼育環境
熱帯の大型爬虫類を日本で飼育するには、それなりに大がかりな設備が必要になります。まずグリーンイグアナをケージの中で飼い続けることは現実的ではありません。成長に合わせてケージを買い替えてゆくよりも、部屋に放し飼いにしてしまうほうが効率的です。そのため、イグアナ用の部屋をひとつ確保しておきましょう。このイグアナさまのお部屋にはエアコンが不可欠です。
幼体はケージ内で飼育しますが、樹上性なので高さが求められます。高さのある植物用の温室(幅120cm程度)がおすすめです。大きくなるとガラスを割ってしまう恐れがありますのでアクリル製のものが無難でしょう。温室内に流木などの枝や観葉植物を組み上げ、しっかり固定し、立体的に移動できる「道」を作ります。床材には保湿性にすぐれたミズゴケやピートモスをしきます。幼体が浸かれる大きさの水入れも設置しましょう。
室温を日中は28~35度程度、夜間は25~28度程度に設定し、一年中この温度を維持します。イグアナさまのお部屋の光熱費は相当な金額になりますが、その分は人間用エアコンのほうで節電してください。すべてはイグアナさまのためです。
ケージにスポットライトを設置し、部分的に40度程度のホットスポットを作りましょう。火傷しないようにライトにはカバーをつけてください。また、紫外線を供給するために爬虫類用のトゥルーライトなどでケージ内を照らします。紫外線要求量が多いので、不足しそうなら蛍光管を増やしましょう。
全長1mほどに成長したら、ケージでは狭くなりますので、放し飼いデビューの時機です。部屋の一角にホットスポットを設け、そこで紫外線を浴びられるようにトゥルーライトも設置しましょう。また、加湿器で部屋の湿度を上げます。湿度は50%程度が理想的で、季節や部屋の広さにもよりますが、加湿器1台では力不足かもしれません。また、室内にも水飲み場を設けてください。
世話
日常的な世話としては、エサやりと水の交換、フンの掃除、温度および湿度の確認となります。
グリーンイグアナのエサ選びには特に苦労はありません。人間が食べる植物ならなんでも食べてくれます。とはいえ新鮮であることが条件ですので、これはこれで非常にぜいたくな食事です。エサ代もバカにならないでしょう。
イグアナ用の人工フードも市販されていますが、基本的には生野菜や果実をメインとし、さまざまな種類を与えます。栄養補助のために爬虫類用のサプリメントを添加したり人工フードを織り交ぜてみてください。
エサを与える際には、人間の手からゆっくりと、声をかけながら与えてあげるのがおすすめです。放し飼いにするのですから、幼体のうちから人間の姿や声に馴らしておくことが大切になります。幼体を背後からワシづかみにするといったことは絶対にひかえましょう。
低温と乾燥に弱いので、イグアナさまのお部屋から連れ出すのは季節が限られるとお考えください。夏場なら、日光浴を兼ねて短時間のお散歩に出かけることも可能です。
人に馴れたグリーンイグアナは、スキンシップを嫌いません。成体なら抱きかかえてもおとなしくしています。しかし、発情期のオスは攻撃的なので、厳重な注意が必要です。ただでさえ鋭い爪を持っていますので、イグアナと一緒に暮らすには、多少の生傷は覚悟しておくべきでしょう。